簿記3級 株式会社(資本金、増資)・繰越利益剰余金・剰余金の配当

簿記3級の繰越利益剰余金がさっぱりわからないけど?

東京都江戸川区で女性限定簿記講座を開催しているおおきFP事務所です。

簿記3級を独学で学んでみたものの、さっぱりわからないというお声をボチボチいただきます。

そこで、WEB上でそんなお悩みを解決できたらいいなと思います。

まずは簿記アレルギーにかからずに、仕組みに慣れることが簿記学習のコツだと思っています。

多少無理ある雑な解説になる個所もありますが、この講義でざっくりと身に付けてテキストに戻ってしっかりと学習されるといいでしょう。

 

ご注意
大変申し訳ありませんが、当WEB講義内容についてご質問や疑問をいただいてもお答えすることはできません。
完全スルーいたしますのでご承知おきください。
誤字脱字などを発見した場合のご指摘連絡も無用です。
個人的にほくそえんでください。

 

簿記3級講義全35回

  1回借方貸方のかんたんな覚え方
  2回収益の勘定科目で基本仕訳をマスター
  3回費用の勘定科目で基本仕訳をマスター
  4回借入金・貸付金
  5回給料の支払いと社会保険料預り金
  6回役員従業員への立替金・借入金
  7回費用項目の仕訳をまとめて覚える
  8回有形固定資産の購入と修繕費
  9回現金・普通預金・当座預金
10回仮受金・仮払金
11回前払金・前受金
12回売掛金・買掛金
13回未収入金・未払金
14回売上・仕入の返品と発送費
15回クレジット売掛金
16回現金過不足と現金の範囲
17回小口現金
18回当座預金勘定と小切手
19回受取手形・支払手形・電子記録債権債務
20回手形貸付金・手形借入金、差入保証金、受取商品券
21回簿記一巡のながれ
22回資産・負債・収益・費用・純資産
23回決算整理:現金過不足
24回決算整理:当座預金
25回決算整理:貸倒引当金(前編)
26回決算整理:貸倒引当金(後編)
27回決算整理:減価償却費
28回固定資産の売却
29回消費税の税抜き処理
30回経過勘定項目(前払費用・未払費用・前受収益・未収収益)前編
31回経過勘定項目(前払費用・未払費用・前受収益・未収収益)後編
32回売上原価 前編
33回売上原価 後編
34回株式会社(資本金、増資、繰越利益剰余金、剰余金の配当)
35回法人税及び住民税、事業税

繰越利益剰余金のYouTube動画は下記をクリックしてご視聴ください。

簿記3級繰越利益剰余金

 

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簿記3級:株式会社

決算整理事項を学習中ですが、ここで3級の大前提である株式会社を先に学んでおきましょう。

これから見ていく決算整理事項の法人税と利益の計上に関係しています。

簿記3級・資本金、増資

株式会社とは?

簿記3級では株式会社の会計を学びます。

そこで、株式会社ってなにか?から見ていきましょう。

商売をするためには、まとまったお金が必要になります。

自分で用意できればいいのですが、なかなかそういうわけにもいきません。

そこで、お金を外部から調達する必要があります。

会社にお金をだしてもらう代わりに、儲かったら少し分けるねという仕組みを使います。

会社にお金を出してもらうことを「出資」といいます。

出資してくれた人には「株式」を発行します。

この株式を持っている人を「株主」といいます。

儲かったら株主さんにお金を分けます。

株主さんに分けるお金を配当金といいます。

このように株式を発行してお金を調達する会社を株式会社といいます。

資本金

株式を発行して受け取ったお金は「資本金」勘定で表します。

仕訳で確認しましょう。

会社設立にあたり株式10株を1株当たり10円で発行し、全株式の払込みを受け、払込金額は当座預金としました。

お金を調達できたわけですから、当座預金は増加します。

当座預金増加の理由は資本金ですね。

 

(左側)当座預金100(右側)資本金100

 

増資

会社の設立後に新しく株式を発行して資本金を増やすこともあります。

この場合の処理は設立の時と同じく行います。

仕訳で確認しておきましょう。

増資のため、株式5株を1株当たり10円で発行し、全株式の払込みを受け、払込金額は当座預金とした。

 

(左側)当座預金50(右側)資本金50

 

ここまで大丈夫ですね?

 

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当期純利益(損失)の計上

さて、会社は資本金を調達して商売を始めました。

商品を仕入れて売り、従業員の給料などを払います。

今年の収益から今年の費用を引くと、今年の儲け(もしくは損)が計算できます。

 

収益ー費用=儲け(または損)

 

この計算は、損益勘定を使って行います。

全ての収益と全ての費用をこの損益勘定に集めることによって、その差額で儲けか損が把握できます。

図で確認しますね。

損益勘定の右側に全ての収益を集めます。

収益は売上、受取利息などです。

損益勘定の左側には全ての費用を集めます。

費用は、仕入、旅費交通費、広告宣伝費などです。

 

簿記3級損益勘定

家計の場合で例えて再度確認しておきますね。

カッコの中は今見た会社の用語を当てはめています。

給料(収益)から家賃や食費などの支出(費用)を引いた残額がプラスであれば黒字(儲け)、マイナスであれば赤字(損)です。

 

儲けの場合は、「当期純利益」、損の場合は「当期純損失」で表します。

繰越利益剰余金 と当期純利益

計算された儲けや損は、毎年繰り越されていきます。

去年の儲けが200円、今年の儲けが150円であれば、会社には合計350円の儲けがあります。

去年の儲けが200円で今年の損が150円であれば、会社には合計50円の儲けがあります。

損益勘定で算出した儲けや損の繰り越し集計は「繰越利益剰余金」勘定で行います。

仕訳で確認しましょう。

当期純利益150円を決算で計上した。

損益勘定から繰越利益勘定に150円移して繰り越していく処理をします。

 

(左側)損益150(右側)繰越利益剰余金150

 

繰越利益剰余金は純資産グループなので、右側に書くと増加を意味します。

150円の儲けが出ていますから、増加ですね。

繰越利益剰余金と当期純損失

儲けバージョンの逆、損したバージョンの仕訳も確認しておきましょう。

当期純損失150円を決算で計上した。

 

(左側)繰越利益剰余金150(右側)損益150

 

損なので、繰越利益剰余金は減ります。

繰越利益剰余金は純資産グループですから、左側に書くと減少を意味します。

剰余金の配当

最後に、剰余金の配当を学びましょう。

会社は儲かったら株主さんにお金を分けます。

これを「剰余金の配当」といいます。

剰余金を配当するときにルールがあって(2級で学びます)「利益準備金」を積み立てます。

儲けを全部株主さんに分けてしまうと会社の経営が危なくなってしまいます。

そこで、儲けを分けるときに一定額を積み立てておいてねというルールです。

仕訳で確認しましょう。

 

株主総会で繰越利益剰余金88円を次のように処分することが承認された。

株主配当金 80

利益準備金の積み立て8

 

これをいきなり仕訳するとなると、ちょっと困ってしまうかもしれませんね。

一緒に一つずつ見ていきましょう。

まず株主配当金です。

決算の後に株主総会を開いて、儲けの分け方などを決めます。

株主総会で決まった配当金は、後日支払われます。

株主さんへの配当金は、まだ払っていませんから「未払配当金」勘定を使用します。

次に利益準備金の積み立てです。

配当時の一定額の積み立ては「利益準備金」勘定で表します。

利益準備金は純資産グループですから、右に書くと増加、左に書くと減少を意味します。

利益準備金を積み立てるわけですから、増加です。

仕訳は次の通りです。

 

(左側)繰越利益剰余金88
        (右側)未払配当金80
            利益準備金8

 

今回の講義で新しく学んだ勘定科目を整理しておきましょう。

 

【純資産グループ】

資本金

利益準備金

 

 

【負債グループ】

未払配当金

 

 

本日はここまで!

お疲れさまでした。

 

簿記3級第34回WEB講義(読み飛ばしてOK)後日ゆっくり読んでください

2019年6月より日商簿記3級は個人商店の会計から株式会社会計へ変更になりました。

この変更により、個人商店の資本金、引出金が削除され、株式会社の株式の発行、利益準備金の積み立てなどが新論点として追加されました。

今回の講義で学んだ範囲は全て新論点となります。

 

株式会社

株式を発行して資金を調達する企業形態を株式会社といいます。

株主に剰余金の配当を行いますが、これは株主総会で決定します。

 

3級で抑えておきたい論点

株式会社の論点で抑えておきたいのは、以下の通りです。

株主からの出資金は原則として全額資本金となります。

決算で算出した当期純利益もしくは当期純損失は繰越利益剰余金勘定で繰り越していきます。

配当金、利益準備金の財源は繰越利益剰余金です。

一連の流れをイメージして確認されるといいでしょう。

損益勘定に収益と費用を集めて当期純利益もしくは当期純損失を計算し、繰越利益剰余金へ振り替えます。

この繰越利益剰余金を財源として配当および配当時の積み立てを行います。

お疲れさまでした。

 

この記事を書いた人

FPおおき
日商簿記検定1級
税理士試験科目合格(簿記論)
簿記3級通信講座講師経験あり