年収600万円でも貯金ゼロ。赤字家計を悪化させてしまう自己流の家計改善は危険
自己流の家計改善に潜む罠 家計改善したつもりが悪化させてしまう危険
家計簿歴35年の家計簿FP(ファイナンシャルプランナー)おおきです。
年収600万円以上世帯の赤字家計改善をメイン業務としています。
え?
年収600万円以上世帯でも家計は赤字?と驚かれますでしょうか。
家計が赤字に陥るには年収はさほど関係ありません。
家計を管理していくのに大事なスキルは支出力です。
今回は、赤字家計の改善を自分で行うことに潜む危険を考えていきましょう。
目 次
赤字家計の改善は慎重に行う
毎月赤字で苦しいため家計の改善をしようと思ったら、どうしますか。
多くの方は、ネットで該当しそうな記事を検索して試してみるのではないだろうかと思います。
しかし、その行為はリスクを抱えていると言わざる負えません。
ネット上の記事を見て、上っ面だけを捉えて行うと、逆効果になることがあるからです。
その理由は2つあります。
・わが家に合った方法を的確に選択できない
・ネットの情報は発信者の信ぴょう性に欠ける
特に、後者の信ぴょう性に欠ける情報は気を付けてほしいところです。
家計赤字が悪化?家計改善に切ったカードが裏目に出てしまう
実際にネットで家計記事を検索されて家計の見直しにトライしてみたというご相談者さんは少なくありません。
ご自身で試行錯誤されて家計改善を行われたご苦労は理解できます。
しかし、その一手が家計改善の重要なカードを切れなくしてしまうこともあるのです。
ようは、ご自身が良かれと思って行った行為が裏目に出ちゃうわけです。
家計を改善するのであれば、改善に使えるカードが多い方が当然ながら家計の改善は楽になります。
その改善方法のカード選択時に、「あ、それ先にやっちゃうと、このカード使えないよね」というケースがあるのです。
例えばこんな赤字家計の改善
具体例を実際に挙げたほうが分かりやすいでしょうかね。
数社から借り入れをしているとしましょう。
A、B、C、D社の4社。
それぞれ借入金利と金額は異なります。
借入金利を18%、14%、7%、4%としましょうか。
この場合、どうしても18%の借り入れが気になるものです。
当然ですよね。
金利が高ければ、その分の利息が大きくなると思うのは自然です。
すると、ああだこうだして作った貴重な返済資金を18%の借り入れ返済に使ってしまいます。
しかし、借入金額と金利、返済回数を洗い出してそれぞれ試算してみないと、どの借り入れを先に完済したほうがいいのかは一概に言えません。
特に、家計が回っていない場合だと、月の返済額も加味して考えないと苦しい状態が変わらないのです。
ああ、家計を楽にするために作った、起死回生のまとまったそのお金を、なぜ……
こんなことが起こってしまうのです。
赤字家計は家計改善を慎重に行うべき
赤字家計の中でも、一手間違うと挽回がしずらくなるような家計の場合は、家計改善は慎重に行わなければなりません。
改善しようとした行為が、家計を逆に苦しめることになりかねないからです。
先述した借入返済の例のほかにも、家計改善が裏目に出るよくあるケースをいくつかご紹介しますね。
赤字家計の住宅ローン借り換え
まずは住宅ローンの借り換え事例から見ていきましょう。
Aさんは住宅ローンを組んだ10年前より金利が下がっているため、借り換えを行うことにしました。
貯金のほぼ全額を借り換えの諸費用にあて、変動金利から変動金利への借り換えです。
しかし、毎月の返済額はさほど変わりませんでした。
家計の苦しさは変わらず、なけなしの貯金もなくなってしまいました。
家計の見直しは住宅ローンなどの固定費からという情報をそのまま信じて行った結果、貯金ゼロ家計になり深刻な状態に陥ってしまいました。
赤字家計の生命保険料の見直し
次は生命保険料を削減した事例です。
Bさんは家計赤字を生命保険料の削減で埋めようと考えました。
子供が大学に進学するまでまだ7年あるから何とかなるだろうと、学資保険を解約して家計支出を減らしました。
毎月の赤字は学資保険を解約してもまだ続き、解約返戻金は赤字の補填でいつの間にかなくなってしまいました。
家計は楽にならず、学費の備えもなくなり頭を抱えてしまいました。
赤字家計&赤字事業の借金借り換え
最後は、個人事業主の事例です。
Cさんは事業資金の毎月の返済がつらく、金融機関に相談しました。
現在の金利よりも低い金利での借り換えを提案され、すぐに契約をしました。
事業資金の借り換えですね。
金利の低さだけで決めてしまったので、当初半年間据え置きによる返済で、返済期間がいままでの契約より短縮。
結果として借り入れが増え返済期間が短くなった分、月の返済額がアップしてしまいました。
赤字家計をさらに苦しくする家計改善例はたくさんある
購入資金が不足しているために、自家用車のリース契約や家電などのローンの契約を選択して家計をさらに圧迫させるケースもよくあります。
購入資金がないために、ローン選択しか選べなかったのですが、余裕のない家計にさらに支払いが増えれば当然ながら家計はさらに悪化します。
ああ、なぜ……
その一手を打つ前に、来てほしかったといつも思います。
家計が赤字である状態では冷静に物事を判断する力は限りなく弱くなっています。
苦しい家計から脱出できるのであればと、深く考えずに選択してしまうのです。
赤字家計を自分で改善する前に専門家にご相談を
家計が毎月赤字で貯蓄もほとんどない、もしくは、多重債務に陥っている。
このようなケースでの家計改善は、身近な専門家に相談されるといいかと思います。
家計改善を手掛けるお近くの専門家を探してみてください。
セカンドオピニオン、サードオピニオンもありだと思いますよ。
家計簿を学ぶ講座(2級)