貯金できない人の「家計簿=節約」の勘違い。

家計簿はムダさがしアイテム?

家計簿歴35年の家計簿FP(ファイナンシャルプランナー)おおきです。

家計簿・家計管理のお悩みをたくさんいただきます。

家計簿つけているのにお金が貯まりません!

節約しているのに家計が苦しいです!

こんなお声を頂戴します。

そこで、今回は家計簿の役目について考えてみたいと思います。

家計簿はどのように使うと貯金ができて、家計が楽になるのでしょうか。

 

 

家計簿つけても節約はできない

節約しようと思ったら、考えるのが家計簿の記帳ですね。

家計簿をつけると節約ができてお金が貯まるようになる。

ほとんどの人が、こんな図式を描いているのではないかと思います。

まず、最初にその誤解を解いておきましょう。

家計簿=節約ではありません。

さらに、家計簿=節約=貯金でもありません。

家計簿はムダ探しアイテムではない

どういうことかというと、家計簿をつけることによって買い物のムダを発見できるから節約につながる。

こういう図式がそもそも違うということです。

この図式を信じている人は、家計簿をつけて買ったものを見返し、ムダの発見に努めます。

食費であれば、お菓子やジュースなどがその標的になるのでしょうか。

ムダな食費を発見し、買わないように意識して頑張ります。

これが、節約ですよね。

節約記事などでは、スタバなどのコーヒーショップに頻繁に行く人であれば、それを止めてみましょう。

など提案されています。

しかし、お菓子やジュースなどの「ムダ」と分類した支出は毎月どのくらいあるのでしょうか。

その部分を節約したら貯金ができるようになるのでしょうか。

貯金するためには収入の範囲内で適正に支出を割り振る

お菓子やジュースなどの嗜好品や、外食などのコストは全てムダ。

節約記事では、生きていくために最低限の食費以外がムダに分類されるのかと思います。

これらは、ムダではなく生活を豊かにするためのお金です。

スタバに行こうが、お菓子を買おうが、収入の範囲内で支出を賄う(将来のための貯蓄を含む)基本ルールさえ守っていれば、問題はないはずです。

まあ、嗜好品は健康を加味しながらですけどね。

一概にムダ扱いして、すべてをカットしようとすれば、そこにはムリが生じてしまいます。

ムリが生じれば、そのひずみは節約挫折となって表れます。

家計簿をつけられないから、節約ができない。

というのは、まず、問題が異なるものだと言えるでしょう。

 

 

貯金できない人は要チェック

お金は2つに分けることができます。

一つは生きるためのお金。

もう一つは生活を豊かにするためのお金です。

例えばカバンの購入を例にとってみましょう。

生活上必要なカバンを購入するのであれば、生きるためのお金です。

おしゃれのために複数保有しているようなバックを購入するのであれば、生活を豊かにするためのお金です。

収入には限りがありますから、まずは生きるためのお金に割り振ることが大切になります。

余裕があれば、生活を豊かにするためのお金として使用すればいいのです。

生活を豊かにするお金にどの程度割り振れるかは各家庭の家計状況によって異なります。

先の、スタバなどのカフェ代は生活を豊かにするためのお金であり、決して「ムダ」な支出ではありません。

貯金できない人はこの部分を混同してしまうので、ムリながまんをを強いるような節約をしたわりに結果が出ないということになってしまいます。

それでもムダをカットしたい場合は?

とはいえ、食費等のムダを探したいという人もいますでしょうから、どうしたら節約ができるのかに触れておきたいと思います。

答は大変シンプルです。

「節約しよう」から、「1,500円支出をカットしよう」に変えればいいのです。

節約しよう。

と、いうと大変聞こえがいいのですが、ぶっちゃけ、この言葉自体が漠然としていて具体的ではありません。

なにをどうすればいいのか不明確なまま行動を起こそうとするから、先の例のように、ムダ探しをしてそれを全部カットしようとしてしまうのです。

その誓いを破るとものすごい罪悪感ですよね。

仮に、お菓子代を節約しようと決めていて、ポテトチップスを買ってしまったら、

「ああ、私はなんてダメな人間なのだろう」そんな思いでポテトチップスを完食するわけです。

美味しくありませんよね。

ムダは生活の潤滑油

家計簿をつけてムダを探して、それを全部カットする。

このような節約法は、修行に近いものがあります。

もう少し、心に優しく支出をコントロールしたいところです。

毎月の食費が4万円であると仮定しますね。

家計が苦しいので、食費を節約しよう!

こう決めたとしたら、多分、ムダを探して苦しくなります。

具体的に、カット項目を決めなくても構わないのです。

2,000円支出カットしよう。

要は、食費を3万8千円で賄うということです。

そのためには、一日約1200円。

この中で、好きなように使えばいいのです。

安く食材が購入できて予算が余ったらお菓子を買ってもいいでしょうし。

貯金するという目標を行動できるように明確にする

節約して貯金するという具体的でない目標を、具体的な目標に変えてみると行動に移しやすくなります。

これは、節約だけのお話しではありません。

なんでもそう。

ダイエットも、「痩せる」ではなく、もっと具体的な目標にします。

ウエスト〇㎝、Sサイズの服を着る、体重〇㌔などです。

節約が上手くいかない人は、一度、目標を変えていてはいかがでしょうか。

節約する → (健康のために)お菓子を月1,000円までにする など、具体的にするといいでしょう。

なぜなら、節約すること自体がそもそもの目標ではないからです。

節約したい、しなければ。

そう思った根本の問題を解決できなければ意味がありません。

それを明確にするためには、節約したい。その問題をしっかりと認識して、その問題解決のための策を講じることです。

貯金をするには家計を見直すことが効果的

ここまでつらつらと食費等の節約についてお伝えしてきましたが、じつは、貯金できない人の原因は毎日の家計簿の中にあることは稀です。

 

 

貯金をしようと思ったら、まず先に貯金分を確保して残りのお金で家計を設計します。

手許でやりくりする食費等へ配分されたお金について、毎日家計簿をつけますよね。

ということは、そもそも手許でやりくりする食費等へ配分されたお金が適切でなければならないのです。

しかし、その検証はほとんどの場合でなされていません。

注意すれば支出が引き締まる家計なのか、それともそもそも食費等に配分するお金が足りていない家計なのかを見極めなければなりません。

それを行わないと、いくら家計簿とにらめっこしてもなかなかお金が貯まらないという事態に陥るのです。